劇場版仮面ライダー鎧武お正月レビューを書こうとしていた頃

タイトルの通り、いつかのお正月、わたしは劇場版仮面ライダー鎧武のレビューを書こうとしていた。

しかし、あまりに言及しなければいけないところが多い今作のレビューは難航し、ついに途中で筆を折った。そのデータがたまたま発掘されたので、もったいなくて掲載した次第である。

 

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劇場版 仮面ライダー鎧武🍊

サッカー大決戦!黄金の果実争奪戦! お正月レビュー

 

1.はじめに

 

前々から劇場版仮面ライダー鎧武は面白いぞ!とことあるごとに吹聴して回っていたのですが、なかなか周りの人に興味を持って貰えないため、お正月休みを利用してレビューを書き溜めることにしました。

当作品は2014年の夏、烈車戦隊トッキュ―ジャーと2本立てで上映されたものです。

鎧武といえば虚淵脚本ということでも話題になりましたが、私はと言えば大好きなトッキュ―ジャーが目当てということもあり、鎧武本編については序盤の数話しかチェックしていない状態で上映に臨みました。

 

正直全然期待しておらず、前半のトッキュ―ジャーが終わったらフケようかな、くらいのテンションだったのですが、不意打ち的に腹筋と中枢神経をズタボロにされ、ほうほうの体で映画館を抜けだしてきた次第です。

 

余談ですが劇場特典で「アイシング応援汗かき」というものを貰いました。プラスチックの薄い板で、丸めればメガホンとして応援に使えるし、分解すると団扇(団扇…?)になるので汗かきにも対応しています、という心憎いグッズです。

 

 

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2.前半戦

 

早速映画本編の紹介に移りたいと思います。

いよいよ始まった劇場版仮面ライダー鎧武…その序盤に映し出された光景は

 

世界は滅亡。

廃墟の中で怪人と孤独な戦いを続ける鎧武。

 

滅亡?

という野暮な疑問に対する説明は一切ありません。

咄嗟にカブトボーグ14期が思い浮かびます。

 繰り返しになりますが、私はテレビ版の鎧武についての知識をほとんど持ち合わせていません。衝撃的なこのキック・オフも、テレビ版を知る人にとっては「滅亡は基本」なのでしょう。

 

本編続き。

鎧武である主人公のコウタのもとに、突然少年が現れます。

少年は、荒廃しきった世界の中、不自然に転がっているサッカーボールを指さし、用途の説明をコウタに求めました。

 

なんか…ほかにもっと聞くことあるのでは…?と思うのですが、優しいコウタは簡単にサッカーのルールを説明してあげました。

ボールを蹴って運んで、ゴールを決めた方が勝ち。 

少年「それで負けた方はどうなるの?命を取られるのか

コウタ「そんな訳ないだろ 笑 どうにもならないよ 笑」

サッカーを通じて「楽しむための戦い」があることを語る主人公のコウタ。「そんな戦いもあるんだ…」と感銘を受ける少年。

 

そんな戦い、サッカー以外にも山ほどある。

 

でも、この劇場版鎧武はワールドカップ開催の記念も兼ねており、サッカーが大切なキーワード。

戦国武将+フルーツ🍊

この鎧武の基本要素だけでも凡人には「????」という感じですが、劇場版鎧武ではさらに

戦国武将+フルーツ🍊+サッカー⚽

という混沌極まる3者が揃い踏み。

その混沌ぶりが序盤から遺憾なく発揮されていきます。

 

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少し目を離した間に居なくなってしまった少年を追いかけるコウタ。

薄暗い廃屋の中を進んでいくと、その奥から謎の歓声が聞こえます。

\ガ・イ・ム!!!/\ガ・イ・ム!!!/\ガ・イ・ム!!!/

荒廃した世界、きっと生き残った人口もたかが知れているのでしょう。そんな状況下で、こんなにも多くの人間の声がするのはいかにも不自然。

コウタ「そんなはずは…」

唐突に開けた視界の先には、ぼちぼち人が入った(満員御礼でない所がリアル)サッカースタジアムが広がっていました。芝生も建物も綺麗に整備されています。

廃墟の中に突然現れた空間にたじろぐコウタ。

そこに、マネージャー(多分ヒロインの人)が「どこ行ってたのよ!」と文句を言いながら現れます。

コウタ「状況が全然わからないんだけど…」

 

全然わかりません。ここまで、本編開始5分です。

 

なおもコウタをせっつくマネージャーが言うことには 

マネージャー「チームバロンが私達チームガイムに戦いを挑んできたんじゃない!」

 

チームバロンとはカイト(🍌の人)率いるサッカーチームのようで、赤いユニフォームが目印です。

カイト「今日こそ決着をつけてやる!」

あと、試合開始前に友達(どうもテレビ版では既に死んでるっぽい)がでてきてコウタが混乱する、という場面もありました。つまり開始5分目にして、全然違う世界軸のお話が始まってしまったようなのです。

 

「どうなってんの!?」と叫ぶコウタを尻目にホイッスルが鳴り、30秒くらい、いたって普通のサッカーの試合を見せられます。

 

おれは 鎧武の映画を見ていると思ったが、いつのまにかサッカーの試合を観戦していた…

 

白熱する試合。芝生を縦横無尽に駆けていたカイトが、急にバナナを取り出しました。

 

「変身!!!」

 

仮面ライダーに変身したカイトは華麗にボールを奪い、人間ではありえない跳躍でゴールを決めました。

大盛り上がりの観客。

やっぱり見ていたのはサッカーの試合ではなく鎧武の映画でしたね。

 

コウタ「今のはずるいだろ!!!」

 

この辺りで気づいたのですが、この映画のツッコミは全て主人公コウタの双肩にかかっているんですよね。このツッコミがまた端的で爽快です。 

カイト「使える力はすべて使う、それが勝負というものだ」

潔い。

一般人の試合に仮面ライダーが混じって、本気のライダーキックでボールを蹴り上げるなんて、明らかに事故じゃないですか。

でも、駆けつけてきた富士電機のユニフォームを着た謎の男が言うんですよね。

謎の男「カイトのいうとおりだぜ」

コウタ「あ…あんた…ジェフユナイテッド千葉佐藤勇人選手

コウタ「プロまでいんのかよ……」

突然のプロ登場に混乱するコウタの肩に手をかけるYAMAHAのユニフォームを着た謎の男

謎の男②「こっちだってまけてないぜ」

コウタ「ジュビロ磐田の駒野選手まで

なんと劇場版鎧武、現役プロ選手まで登用。どこまでサッカー要素をつきつめていく気なのでしょうか。早くも戦国武将フルーツ🍊の2大要素が霞み始めました。

 

プロも出場するすごい試合とあって、コウタも訳分からないなりに本気でプレイに臨みます。 

ここでいう本気というのは、つまり仮面ライダーに変身するということです。

この試合の絵面で面白いのが、フツーのユニフォーム着た選手達に混じってガワがフツーにプレイしてる所です(たまに必殺技を出してくることもありますが)。

動きも軽快で、ディフェンスとかパスとかもフツーにこなしてるのが妙に笑いを誘います。

勿論ゴールキーパー仮面ライダー正直普通の選手のハンデ大きすぎですが、そんなの全然考慮してない所が堪りません。我々の感覚も段々麻痺していきます。

 

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この白熱した混沌サッカー試合を、別チームも偵察に来ていました。

スポーツ漫画にありがちな、これから戦うであろう他校チームが主人公チームの試合会場に来てなんやかんやいう感じでしょうか。

緑ユニフォーム「優勝はこのチームシャルモンがいただくわ!」

白ユニフォーム「我々ユグドラシルはサッカーで世界を制するのだ」

鎧武は平成ライダー初期のドロドロ具合をフューチャーした作品だと聞いたことがあります。

多分テレビ版本編でも色んな勢力が泥沼のように覇権を争っているのでしょう。

劇場版ではその勢力が全部サッカーチームになっているっていう、そういうことか…

 

 

さて、試合は拮抗しつつも、ガイムチームの勝利。

互いの健闘をたたえ合う中で、カイトチームの生身の一人がぼやきます。 

「ああ~~オレも強いベルトがあれば、もっと活躍できるんだけどなあ…」

普通の選手の立場なさすぎ、という認識はどうも本人達の中にもあったようです。

 

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試合の後、町をうろつくコウタ。

映画序盤で見た廃墟はすっかり姿を変え、町並みは元に戻り、人々もなにごともなく生活をし…そして…

どこに行ってもサッカー一色にそまっています。 

その様子を訝しんだり、ゴン中山(本人)に謎のエールを贈られたりするコウタ。

 

そこで冒頭の「サッカー以外の戦いでは負けた方が命を取られるのは基本」という物騒な思想を持つあの少年が現れ、ラピスと名乗ります。

再登場したラピスは、どういう訳かサッカーの大ファンになっていました。

 

ラピス「コウタの言った通りだよ…誰も傷つかない…命の失われることのない戦い…すごいよ!こんな戦い方があったんだ…!」

コウタ「う…うん…」

ラピス「この町は平和だ…この平和が永遠に続けばいい…」

 

う…うん…

 

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場面は変わってどこかの豪邸。

さっき試合を偵察に来ていた白ユニフォームのお兄さんとその弟が会話しています。

 

本編の登場人物を把握していなかったのですが、このお兄さんが出た時、

映画館で前に座っていた4才くらいの子が

「メロン味!」と叫んだのでこの人がメロンなのかな、と思っていたら、やっぱりメロンのライダーでした。

 メロン味は妻の見舞いに出掛けていきます。そしてそれを見送る弟(ミツザネ)。

ミツザネ「兄さんは独身(強い断定)妻なんていない…何より…兄さんは僕が…」

 

僕が…なにしたの?