ハンターを目指していた頃
ハンターを目指していた。小学校中学年だった。
ハンターハンターの読者なら全員知っていると思うが、その年の一次試験は過酷な持久走だった。
持久力をつけるため、登校前、朝早く起きてランニングを行った。ジャージなんかは持っていなかったので、私服で走り回った。
早朝、村にはおじいさんやおばあさんが多く、そしておばあさんやおじいさんは早起きなので、朝の6時ともなると活動のピークを迎える。
自意識過剰だったので、私服でぐるぐると村中を駆け回る子どもは、彼らに変な目で見られているのではないかと恥ずかしかった。それは長距離走の苦しさよりも勝った。
でも、そんなちっぽけなプライドにこだわるようでは、ハンターにはなれない。
しかし、結局わたしはプライドに負けた。朝のランニングは、1,2週間でやめてしまった。
だが、今になって考えると、ハンター試験は毎年内容が変わるので、このトレーニングにはあまり意味がなかったと思う。
ほかにもやった。
ハンターになるためには基礎体力が必要なので、腕立て、腹筋、スクワット各30回を毎日己に課していた。
きちんとやった日はハンターカレンダーに〇をつけて、目に見えるかたちで成果を記録した。このやり方は今でも骨髄に染み付いていて、継続してやっていきたいことは〇つけ表をつくって取り組んでいる(直近では、髪にドライヤーをかけた日の〇つけ表をつくった)。
記憶があいまいだが、筋トレの方は、多分半年くらい続けていたと思う。
それ以降、特にトレーニングに打ち込んだ期間はないのだが、未だに二の腕や腹にその時の筋肉が残っている。
人生で誇れる数少ない成果のひとつがこのハンター試験のためのトレーニングであるが、あれは、妄執的なハンターへ憧れがあったからこそできたものである。
そういう、あの頃抱いていたあまりにも強い執着が年々薄れていくのを感じる。
いまだにハンターにはなれていない。